国際化の波が日本にも訪れています。
訪日外国人旅行客の増大で話題のインバウンドが一番伸び率が高いですが、インバウンドだけでなく政府は外国人労働者も今よりも多く受け入れようとしています。
日本に外国人が入っているだけでなく、市場がグローバルになってきており日本人や日本企業も外国へどんどん出ていく時代となっています。
そんな国際化が進む日本ですが、弁護士はもちろん司法書士や行政書士などの士業も国際化が必要になってきつつあります。
弁護士は英語で「lawyer」と呼ばれていて、日本人も外国人もしっくりくるのですが、司法書士や行政書士を始めとする士業の英語表記は微妙です。
司法書士や行政書士の仕事は海外では弁護士が行う
日本とは違い海外では、日本の士業のように細かくいろんな専門職が分類されている国はほとんどありません。
例えば司法書士や行政書士が行う仕事ですが、アメリカでは一般的には弁護士が行っています。
そのため、アメリカでは司法書士、行政書士、社会保険労務士といった資格はありません。
また、この傾向はアメリカだけでなくほとんどの国でも同様です。
士業の英語表記は諸説あります
このように司法書士や行政書士をはじめとする士業が細かく外国にはないため、そのままズバリと当てはまる英語表記はありません。
そのため、士業の英語表記は諸説さまざまなものがあるのが現状です。
士業団体が公表する英語表記
各士業にはそれぞれ士業団体があります。
例えば弁護士であれば、日本弁護士連合会で略称日弁連はニュースでも良く耳にしますよね。
それぞれの士業団体の英語表記は以下のようになっていて、この英語表記が正式に近いものと一応いえると思います。
司法書士
日本司法書士会連合会のホームページでは、「Shiho-Shoshi Lawyer」
Lawyerという言葉が使われています。認定司法書士は限定的ではありますが法定に立てますので、このような表記も許されるのでしょうかね。
行政書士
日本行政書士会連合会のホームページでは、「Certified Administrative Procedures Legal Specialist」
とにかく長いです(笑)
一時期司法書士もそうでしたが、行政書士も英国の事務弁護士の「Solicitor」という表記をよく目にしました。
しかし、弁護士サイドから苦情が入るなどして、表記としては適当でないという意見も多くなっています。
社会保険労務士
全国社会保険労務士会連合会のホームページによると、「Labor and Social Security Attorney」
こちらも長いですね。まあ行政書士と比べると日本語表記でも長いですから、それほどでもないですが。
「Attorney」は、日本語訳では代理人と訳されますが、Lawyerに違い言葉ですから、微妙なところです。
ただ、Lawyerと比べると一般的ではないので弁護士サイドもそれほど問題にしないのでしょうかね。
弁理士
日本弁理士会のホームページによると、「Patent Attorney」
「Attorney」というと、こちらのほうが一般的には知られているかもしれませんね。
公認会計士
日本公認会計士協会のホームページによると、「Certified Public Accountant」
こちらは外国でもかなりしっくりとくるはずです。米国公認会計士資格が、Certified Public Accountant、USCPA
という表記ですからね。
ちなみに以前バッジもCPAの文字が刻まれていたのですが、変更になりました。ただあまり評判は良くありません。
税理士
日本税理士会連合会のホームページによると、「Certified Public Tax Accountant」
「Certified」が公認されたという意味ですから、日本の士業にはわりとしっくりときますね。
ただ、「CPTA」の略称にするとなんだか公認会計士と似ていて、ちょっとややこしいかもしれませんね。
土地家屋調査士
日本土地家屋調査士会連合会のホームページによると、「Land and House Investigators」
英語の直訳でいうとすごい分かりやすいですね。これぐらい分かりやすいと外国人にも説明がしやすいですね。
司法書士や行政書士は一番これがオススメ
主な士業の英語表記をそれぞれの士業団体からみてきたのですが、外国人に一番説明が難しいのは司法書士や行政書士ではないかと思います。
社会保険労務士も難しいのですが、そもそも日本と比べると社会保険がそれほど整備されていない国も多いですから、英語表記以前に難しいものがありそうです。
司法書士に関しては、「Shiho-Shoshi Lawyer」が一番オススメですが、ただ「Shiho-Shoshi」を知らなければ、そもそもまったく通じないでしょう。
そんな場合は、辞書にも出てくる「judicial scrivner」という表記も良いでしょう。
ただ、「scrivner」が昔の字が書けない人のための代書人を指す古い単語で現在ではあまり一般的ではありません。
そのため、グローバル化を考えると、一部の英語ネイティブには通じても、非ネイティブや若者にはトンチンカンということもあるはずです。
これは行政書士にも当てはまりますね。日本の事情がわかる人には「Gyousei-Shoshi Lawyer」でも良いでしょう。
行政書士を「administrative scrivner」という英語表記で表す例もありますが、人によってはまったく違う職業を想起されるかもしれません。
司法書士も行政書士も手っ取り早い「similar to solicitor」というとわかってもらえる確率は高いですし、わりと実態にも即しているのではないかと思います。
行政書士の場合は、通常専門業務を特化しますが、在留資格業務を専門に行なっているのなら、「Immigration Lawyer」がオススメではあります。実情に即していて、おまけにかっこよいですしウケも良いです。