司法書士試験は、択一式試験と記述式試験の総合評価によって合否が決まることになります。
両方式の試験の総合評価になるわけですから、どちらも手を抜くことはもちろんできないのですが、勉強の比重をどれくらいにするかは気になるところです。
択一式試験と記述試験のどちらを重視して勉強すべきなのでしょうか?
択一式試験と記述試験の配点
司法書士試験は筆記試験と口述試験がありますが、筆記試験は1日で終了し、筆記試験合格者が口述試験を受けることができます。
筆記試験はさらに午前の部(9:30~11:30)と午後の部(13:00~16:00)があります。
午前の部は択一式試験で憲法3問、民法20問、刑法3問、商法9問の合計35問。
午後の部は択一式試験と記述試験があり、
択一式試験は不動産登記法16問、商業登記法8問、民事訴訟法5問、民事執行法1問、民事保全法1問、供託法3問、司法書士法1問の合計35問。
記述式試験は不動産登記と商業登記それぞれ1問づつの2問になります。
択一式と記述式の配点ですが、択一式の午前の部が105点、午後の部も105点で合計210点満点。
記述式は35点づつで合計70点満点になります。
配点だけを考えると択一式試験は記述試験の3倍にもなるので、勉強の比重としては択一式試験の対策を3倍すべきようにも思えます。
司法書士試験の足きり
記述式が苦手だから、択一式試験対策をガンガンやって満点を取れれば合格ができるかといえばそうはいきません。
司法書士試験には択一式試験と記述式試験のそれぞれに足きり点が設けられていて、各々基準点をクリアしなければ合格をすることはできないのです。
択一式試験では午前の部と午後の部それぞれに基準点が設定されているため、苦手科目をつくらないように万遍なく勉強をすることが必要です。
このように司法書士試験には足きりが存在するため、極端に択一式試験か筆記試験に比重を置くということはできません。
なお、それぞれの合格基準点を足しても全体の合格基準点をクリアできないといわれていて、各部門の基準点よりも数点多く得点を取る必要があります。
以上のように得点の高さを考えると、択一式試験は記述試験の3倍で足きりがあることから、どちらかに偏ることはできないものの、択一式試験対策をより重視すべきという感じにもなります。
択一式試験と記述式試験は出題形式の差
択一式試験と記述試験ですが、同じように司法書士としての能力を測るものであり、問われている内容はそれほど変わりはありません。
それぞれの試験は出題形式の差でしかないため、やるべき勉強についてはそれほど変わらないのです。
つまり、択一式試験を重視した勉強、記述式試験を重視した勉強というものはほとんどないのです。
基本事項を理解して得点にできるだけの実力をつけることが大事なのです。
ただし、不動産登記法と商業登記法だけが択一式と記述式の両方にあるわけで、配点もより高いわけですからより重視すべき科目であるとはいえるでしょう。
司法書士試験は力のある人が勝つもの
資格試験の直前期によく実施される「ヤマ当て」や「直前模試」などを利用される人も多いですが、出題問題によって合格を左右すると考える人もいるでしょう。
確かに出題される問題によっては、多少の運も司法書士試験にもあることは事実です。
ただ運が合格に左右する度合いはそれほど大きくありません。
司法書士試験は力のある人が順当に合格を勝ち取るような試験だといえるでしょう。
出題問題によって得点が大きく左右するような実力では到底合格はできない厳しい試験なのです。
出題範囲も広く足きりの存在もあることから、いかに苦手分野をつくらないことも重要な合格の要素になります。
司法書試験は実務家登用試験といわれますが、実務家は少しのミスも許されない世界です。
実務家としての素養を試されているわけですから、運が左右するようではとても厳しい実務の世界では生き残ることができないのです。