司法書士試験のような試験範囲が膨大な資格試験では基本書は分厚いもので、その読み方が適切でない場合は時間のロスになります。
基本書もその読み方があります。またどのような基本書を選ぶべきかも重要です。
日頃の読書や勉強のために本を読むのとはちょっと違います。
もしかして基本書をこんな感じに読んでいるのなら、それはもったいないですよ。
司法書士試験の基本書選び
司法試験の受験生の間では評判が高くて定番の基本書があります。
例えば民法でいうとこの基本書を使っているという人も多いはずです。
民法(1)第4版 総則・物権総論 [ 内田貴 ]
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憲法ならこちらとか。
憲法第6版 高橋和之 [ 芦部信喜 ]
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これらの基本書は1冊でもとても分厚く、しかも試験範囲は憲法や民法だけでなく、他にもたくさんの科目があります。
司法試験で人気の基本書は、大学の授業でも選ばれるものも多いですが、司法書士試験でも同じように利用すべきなのでしょうか?
司法書士試験の性格からの基本書選び
司法書士試験は「実務家登用試験」の性格が強く、正確で細かい知識が要求されます。
最近はただ論理性を問う問題も増えてきていて、単純な暗記では対応ができない考えさせられる問題にも対応をしなければなりません。
司法試験や大学の授業で好まれる基本書は、確かに学問を究めていくのにはとても優れているのですが、司法書士試験の性格を考えると、利用することが近道とはいえないでしょう。
初学者は挫折がしやすい
司法試験受験生が好んで使うような定番の基本書ですが、その大半は初学者にとっては読みやすくて理解しやすいというものではありません。
そんな基本書を法律には馴染みが薄いという人が読めば、挫折することが多くなります。
そのため、特に初学者は学問の定番という感じの基本書を読むことはオススメしません。
ではどのような基本書を選ぶかというと、オススメはいわゆる「予備校本」といわれるものです。
中でもこちらは人気講師の竹下貴浩氏の著作で長年多くの受験生に愛用されています。
司法書士デュープロセス民法・不動産登記法(1)新版(第2版) [ 竹下貴浩 ]
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有斐閣や東京大学出版会ではなく、予備校本だからといって侮ってはいけません。
科目ごとに別れていて全部で9冊。上記の「民法・不動産登記法(1)」だけでも437ページ数にもおよぶのでかなりのボリュームになります。
9冊全てがこれほどのボリュームではありませんが、それでも全て合わせると相当な量になります。
基本書の読み方
司法書士試験では、資格予備校が出版する基本書がオススメですが、それでも読み方が良くなければ効率的に勉強をすることはできません。
例えばこんな読み方をしている人は要注意です。
端から端まできっちり読む
基本書を読むと、最初のうちは特にわからない事項も多く時間もかかります。
完璧主義の方に多いのですが、わからないことがあったら、そこを調べてわかるまで前へ読み進めようとしない。端から端まできっちりと読むという感じです。
そこまできっちり勉強をするのは悪いことのないように感じるかもしれませんが、合格が目的の資格試験では、こんな読み方はあまり得策とはいえないでしょう。
最初はあまり細かいことを気にせず、まずはざっと通読することが大事です。
つまり、まずは「木を見て森を見ない」というのでは良くないので、細かい木を見るのではなく、ある程度大雑把に森を見ることが大事です。
1~2回読んで終わる
基本書を1~2回読んで終わりという人もけっこういます。
さっと通読した後は、ある程度じっくりと読む。
さらに過去問集を利用する際に、より理解を深めるために読んだり、問題意識を持って時間をかけて読むと実力がついてきます。
基本書を変える
別の基本書を何種類も買って読むことは、あまりオススメできません。
基本書は1種類に絞るべきで、その本を何回も読んだり、参照することが大事です。
そのため、基本書選びには慎重になることも大事です。
できれば本屋で自分に合う本を何冊も見比べてみるのが良いのですが、そんな時間のないという人なら、まずは定評のある基本書を1冊購入すると良いでしょう。
その本で勉強をしていて、順調に勉強ができるのならそのまま学習を進めれば良いですし、ちょっと違和感があるのなら他の本に乗り換えてみるのも良いでしょう。
司法書士試験で合格を目指すためには、基本書の選び方と読み方は大事です。
特に悪い例にあげたような読み方をしている人や、難しすぎる基本書を選んでいるような場合は、立ち止まって方法を再検討することが必要でしょう。