初学者が法律系資格の勉強で壁を感じるのが難解な法律用語です。

 

法令用語の中には一般的には同じような感じで使っている言葉でも、その意味の違いはとても大きいものがあります。

 

初学者が戸惑う、試験では常識にすべき法令用語「推定する」と「みなす」の違いを解説します。

 

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法令用語「推定する」の意味

 

「推定する」と言い方は文書では時折見かけることがありますが、話し言葉ではそれほど使う機会も多くないと思います。

 

法令用語の「推定する」の例ですが、民法772条1項で「妻が婚姻中に懐胎した子は、夫の子と推定する。」と規定されています。

 

「懐胎」も文脈がなければ何のことか意味不明なんですが(^_^;)

 

懐胎したとは妊娠したという意味ですね。

 

妻が婚姻中、つまり結婚をした間に妊娠した子供は、夫の子と推定するということですが、いろいろ後々の問題を考えると、ここでの推定するという意味はとても重要です。

 

「推定する」とは、「Aという事実があれば普通はB」ですよねという感じで、法令が一応判断を下すことです。

 

妻が結婚中に妊娠したという事実があれば、普通はその子供は夫の子と考えるということですね。

 

ただ、100%夫の子とは限らないわけです。

 

例えば不倫関係にあった場合、その相手方の子供だって考えられるわけです。

 

「推定する」との規定がある場合は、当事者が反証をあげないと推定するという事柄を覆すことはできません。

 

「反証」という言葉もちょっと難しいかもしれませんが、反対事実を証明するということで、反対事実を証明すると推定で規定されて事柄を推定することができます。

 

こんなニュースもありましたね。

 

 

反証としてDNA鑑定などを行って大沢樹生の長男ではないことが判決で確定をしたわけです。

 

民法772条1項の規定で大沢樹生の子供であることが推定されていたわけです。

 

 

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法令用語「みなす」の意味

 

「推定する」に似たような言葉で法令用語で「みなす」があります。

 

法令用語の「みなす」の例ですが、民法753条で「未成年者が婚姻をしたときは、これによって成年に達したものとみなす。」と規定されています。

 

「みなす」というのは、本来異なるものを法令上一定の法律関係につき同一なものと認定してしまうということです。

 

「推定する」との大きな違いは、みなされた事柄を、反対事実を証明して覆すことはできないことです。

 

民法753条では、未成年者が婚姻をしたときという法律関係によって、本来は未成年者は成年ではないのですが、成年と擬制してしまうということです。

 

この「みなす」が先程の大沢樹生の例で出した民法772条1項で、もし使われていたとすると、大沢樹生の長男が実子であるかどうかはあれほど問題とならなかったはずです。

 

このように「推定する」と「みなす」は似たような言葉ですが、法律関係を決める法令用語としてはその違いはとても重要なのです。