不動産資格の必置資格である管理業務主任者試験は、就職や転職でも有利なことから人気資格のひとつに数えられます。
必置資格とは、特定の業務を行うに際して、有資格者の設置が義務付けられている資格ですが、企業の需要も常にあるため、取っておいて損はない資格だといえます。
管理業務主任者資格ですが、マンション管理人が取るべき資格という認識の人がけっこういます。たしかに資格の名称だけで考えると、そう思うのも無理はないですが。
管理業務主任者の仕事は、一般的にマンション管理人の仕事とは別物。資格取得を目指すのなら、もし勘違いをしているなら、仕事内容を少し考えてみてからにしましょう。
管理業務主任者はマンション管理人の資格ではない
よく勘違いされがちなことなのですが、管理業務主任者=マンション管理人の資格。
これは全くの勘違いです。管理業務主任者ですが、マンション管理業を営む者が、法的に設置・確保が求められる資格です。
その仕事内容ですが、大事なのは次の2点。
- 重要事項の説明
- 管理業務の処理状況について管理組合に報告させる
このような仕事は基本的にマンション管理人は行いません。マンション管理人の仕事は、もっと生活に密着した仕事です。
例えば、共用スペースの清掃だったり、マンションの設備の点検だったり、何か設備面でトラブルが合った場合の対応、緊急時の初動対応などです。
設備の点検やトラブル対応も専門的なことを行うというより、とりあえず状況だけ確認をして専門的なことは、業者などに任せるという感じが普通です。
管理業務主任者資格はマンション管理人の就職に有利?
寄せられる相談でも「マンション管理人の仕事を考えてるのですが、管理業務主任者資格を取っていれば有利ですか?」という感じのものがあります。
この質問に対する答えなんです、「一応有利になるかもしれないが、それよりも人物重視の傾向が強い」。
たしかに管理業務主任者の資格を取っていれば、マンション管理に関する知識が一定程度あることがわかりますので、マンション管理人の仕事で役立つ時もあるでしょう。
ただ、企業がマンション管理人に求めることは専門的な知識よりも、住民と円滑にコミュニケーションを取れるということが一番重視されます。
住民と軋轢ばかりのマンション管理人なら、企業も何かまたトラブルでも起こすのかとヒヤヒヤしますから。そういう人は企業も困るのです。
管理業務主任者は必置資格ですから、企業も人員を確保する必要があります。そのため、マンション管理人がその役を代替するためのキープ役として便利だと考える可能性があります。
そのような状況があれば、管理業務主任者資格が有利に働く場合もあるでしょうが、あくまでも人物重視がほとんどです。
マンション管理人の就職が目的なら他のことに時間を
年金収入が今後減っていくことが予想されますし、年金収入にプラスして何か仕事をしたいという人にとっては、あまり体力がいらないマンション管理人の仕事は、特に中高年に人気があります。
マンション管理人の就職に有利になるかもしれないということで、管理業務主任者試験の合格を目指そうというなら、一部の人以外はあまりオススメしません。
なぜなら、資格取得の労力がかかる割にはその見返りが少ないからです。
ですから、難関資格の管理業務主任者試験を目指すのではなく、他のことに労力を割くことがより人生を豊かな物にするでしょう。
マンション管理人の就職のために、管理業務主任者資格を検討しているという人で、受験すべき人はすでにある程度の関連の知識がある人です。
例えば宅建士資格を持っているなら、民法の知識が管理業務主任者試験にも生きますし、それほど大きな努力をせずに試験に合格することも可能です。
これなら、資格取得の労力である程度の効果も期待できるので、管理業務主任者試験を受けるメリットもあるでしょう。