宅建資格は以前は「宅地建物取引主任者」という名称でしたが、2016年に現在の「宅地建物取引士」に変更されました。
主任者が「士」に変わり、弁護士や税理士などの俗にいう「士業」のひとつになった感じですが、他の士業とは少し独立開業では異なります。
宅建資格と独立開業について、その開業に必要なものについてどんなものが必要なのかを解説します。
宅建士資格の独立開業は不動産業を営むこと
宅建士の資格で独立開業をするとなると、宅地建物に関するコンサルタントで独立開業とはちょっと違います。
そもそも経営コンサルタントという肩書を名乗るのに特別な資格は必要がありません。
資格がなくても経営コンサルタントには名乗ることができます。
ただ、顧客に信用がされるためには、それなりの経験や実績が必要ですし、中小企業診断士のような資格があれば信頼が上がる場合もあるでしょう。
では宅建士資格はというと、資格を生かして独立開業をするのは士業として開業するイメージとはちょっと違い、不動産業を開業するということになります。
宅地建物取引主任者からの名称変更
一般的に宅建資格は「宅地建物取引主任者」という名称で不動産屋に最低一人設置することに長年なっていました。
長い間使われていた「宅地建物取引主任者」は、2016年に宅地建物取引士(宅建士)に名称変更。
名称変更によって、ものすごく大きな変化があったわけではありませんが、義務や責任に関することについて変更や追加がされました。
より重い義務や責任が必要になったということは、それだけ社会からの信頼も得られる資格となったといえるでしょう。
不動産業の開業に必要なもの
宅地建物取引主任者からの宅建士に変更になったとはいえ、宅建士の資格を活かすためには不動産会社などの企業に務めるか、自分で不動産業を開業することがあげられます。
不動産業を開業するのには免許が必要ですし、一定の資金が必要となるなど少しハードルは高くなっています。
宅地建物取引業の免許取得
不動産業を開業するためには、「宅地建物取引業」の免許が必要です。高額な不動産を扱うわけですから誰でも簡単にできるわけではないのです。
宅地建物取引業の免許取得するためには宅建士の資格を持っている人が必要ですので、ここで宅建士の資格が独立開業に活かせるというわけですね。
宅地建物取引業の免許取得には役所への手続きが煩雑ですから、手続きを行政書士などに頼むには別途資金が必要になります。
事務所と会社設立
不動産業を開業するためには事務所が必要です。不動産販売のためには信用力が必要です。
そのため、きちんとして事務所を借りることが大切ですが、そのための敷金や毎月の賃料などの費用がかかってきます。
不動産業は個人事業でも行うことができますが、顧客に対してより信用力を高めるためには、会社を設立する方が良いでしょう。
会社を設立となるとさらに資金が必要となり、自分で手続をしない場合は行政書士などに依頼する費用もかかってきます。
その他の開業資金
不動産業を開業するためにはとにかくお金が必要になってきます。
営業保証金と保証協会への加入
不動産業を営むためには営業保証金が必要です。保証金ですが本店だけの場合でも1000万円と高額です。
ただ、保証協会に入会すると営業保証金が免除されるためほとんどの人は保証協会に入会することになります。
保証協会に入会するためには、入会金20万円と保証金60万円が必要です。
少ない金額ではありませんが、1000万円と比べるとずいぶんと必要資金を節約することができます。
宅建協会への加入
不動産業を営むためには宅建協会への加入は必ずしも必須ではありません。一応加入しなくても開業はできますが、ライバル業者と比べてかなり不利になってしまいます。
不動産業界には全国の不動産情報を閲覧できるレインズというシステムがありますが、宅建協会へ加入することでレインズのシステムを利用することができます。
また、物件の仲介売買を行うには宅建協会への加入が必要です。
つまり、宅建協会へ加入をしなければかなり業務の範囲が狭くなってしまうため、事実上は入会が当たり前のような状況です。
宅建協会への入会には入会金60万円が必要で上記で説明したような様々な費用がかかる中で、さらに追加の資金が必要となります。
宅建士の資格と宅地建物取引業の免許取得、多額の開業資金に加えて経営を軌道に乗るまでの運転資金も必要で、資金面では不動産業の開業はけっこう大変なのです。