行政書士試験は難関の国家資格のひとつです。ただネットなどで情報を集めていると、その評価がかなり偏っていないでしょうか?

 

なぜこんなことになるかというと、行政書士試験は昔の昭和の時代は、今よりももっと簡単試験で、近年はかなり軟化しています。

 

実際に古くからの行政書士が、新人の行政書士に対して、「最近の人は難しい試験を突破したから優秀な人が多い」なんて発言もありますから。

 

このように行政書士試験の難易度がかなりの変化を見せたため、情報が過去の時代のものを引きずったものもあるため、難易度の評価の差が激しいのです。

 

では、実際には行政書士試験の難易度はどうなのでしょうか? 他の資格や大学の偏差値と比較した目安を紹介します。

 

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行政書士試験の合格率と難易度

 

合格率は資格試験の難易度をあらわすひとつの目安になりますが、行政書士試験の難易度の推移はどのようになっているのでしょうか?

 

平成に入って行政書士試験の合格率は、概ね10%前後で推移をしていますが、中には平成15年の2.89%、平成17年の2.62%など3%を割り込む時代もありました。

 

このような低い合格率だけでいうと、司法書士並みであり、超難関資格に並ぶとも思える数字です。

 

ただ、GETSスキルではたびたびお伝えしていますが、合格率だけでは難易度をあらわすことはできません。試験を受ける母集団にもよりますし、「記念受験組」もいますので本当の合格率とは異なるからです。

 

 

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他の難関資格と比べてみると

 

合格率だけではハッキリとわからない行政書士試験の難易度ですが、他の難関国家資格と比べるとどうなのでしょうか?

 

明らかに超難関資格の司法試験や公認会計士試験とは、その難易度の差が大きいのですが、良く比較されるのは、社労士、マンション管理士、宅建士などでしょうか。

 

例えばこちらのサイトでは、資格試験の偏差値を紹介しています。

 

そこでは行政書士試験の偏差値は62。同じ偏差値の資格試験として、管理栄養士、薬剤師、マンション管理士、英検準1級などがあります。

 

ちなみに社労士試験は偏差値65、宅建士試験は偏差値57になります。

 

管理栄養士や薬剤師は受験資格を得るのが大変ですから、試験自体の難易度を考えると誰でも簡単に受験できる行政書士試験がかなり難易度が高いといえるでしょう。

 

 

マンション管理士との比較

 

マンション管理士試験との比較は甲乙つけがたい評価で、どちらが難易度が高いかはまちまちの状況です。

 

ただ、行政書士試験が5択、マンション管理士試験が4択のマーク式、加えて行政書士試験は記述式や一般教養科目もあることから、特に年齢が高くなるほど対策が難しい面はあるでしょう。

 

GETSスキルとしては、行政書士試験がワンランク難しいとの結論を持っています。

 

 

英検準1級との比較

 

英検準1級は確かに難しい試験ではありますが、行政書士試験と比べると試験の内容が異なるものの、行政書士試験がワンランク難易度が高いと思われます。

 

たしかに英語がまったくわからない状態から、英検準1級を目指すのであればかなり難しいでしょうが、英語は学校での勉強の積み重ねがあります。

 

ただし、英検準1級は「大学中中級程度」という表記があるため、よく大学生でも簡単に受かると誤解されがちですが、この大学とは海外の大学とか、日本でも英語を使って授業をする大学という意味と考えましょう。

 

 

宅建士試験との比較

 

宅建士試験と行政書士試験の偏差値の差は、紹介したサイトによると62と57で5ぐらいの差があります。両試験の難易度の差はかなりありますので、この差は妥当な数字だと思います。

 

ちなみに英検2級の偏差値は55で、英検準1級との差は7あります。そこまでの差は行政書士試験と宅建士試験にはないということですが、こちらもほぼ妥当でしょうか。

 

 

社労士試験との比較

 

社労士試験の偏差値が65で行政書士試験の偏差値が62ですからその差は3もあります。

 

この点、管理栄養士や薬剤師でもお伝えしたように、受験資格を得ることの難しさも加味されている面もあるでしょう。

 

つまり、誰でも受験できる行政書士試験と比較的厳しい受験資格の要件がある社労士試験では試験の難易度を単純に比較することはできません。

 

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社労士試験の方が行政書士試験よりも難しいのは確かですが、試験自体の難易度自体の差は微々たるもので、1程度の差ではないでしょうか。

 

つまり、大卒などですでに受験資格がある人にとっては、1程度の差。受験資格がない人は受験資格を得る労力も加味すると3程度の差はあるということですね。

 

 

大学の偏差値と比較してみると

 

行政書士試験の偏差値62という数字ですが、大学受験と比較をしてみるとどうなるでしょうか?

 

大学の偏差値は学部によってもかなり異なりますし、河合塾と駿台によってもかなり違いますし、何よりも大学受験と行政書士試験ではちょとと試験の性格が異なります。

 

ただあえて比較するとして、河合塾の偏差値とまずは比べてみます。法律系の資格ということで、法学部で比較してみました。

 

偏差値62程度というと、中央、明治、法政、立教などいわゆるMARCHに属する大学がずらっと並びますし、その他同志社もこのランクに含まれます。

 

中央大学法学部などは司法試験合格者も多くて、明らかに行政書士試験との差は大きいという意見もアリそうですが、それは中央の中でも限られた優秀な人だけです。

 

単純に入試に合格する実力と考えると、行政書士試験合格と大学受験偏差値62ぐらいの合格を考えるとほぼ互角かなという印象を持ちます。

 

ただ、どちらが価値があるかというと偏差値62程度の大学卒業がはるかにその価値が高いでしょうが。行政書士試験は試験の性格上、資格を活かすためには専門分野を持ってナンボという面もありますからね。

 

ちなみ駿台の偏差値ですと、62は名古屋大学法学部や神戸大学法学部になりますが、こちらだと明らかに行政書士試験の方が合格しやすい試験だといえるでしょうね。