司法書士は法律を扱う高度な専門家として、高い社会的地位もあります。

 

業務独占資格である司法書士は、司法書士しかできない独占業務を持っており高所得者も多いので、目指す人も多いでしょう。

 

ところが将来はどうでしょう?

 

士業の仕事はAIの登場によって、その存在価値が脅かされるともいわれていますが、司法書士の場合はどうなのでしょうか?

 

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司法書士の独占業務

 

司法書士は業務独占資格として独占業務を行うことが認められていて、司法書士以外がその独占業務を業として行うと違法になります。

 

司法書士の独占業務の主なものは次の2つになります。

 

  • 法務局への申請書類
  • 裁判所に提出する書類

 

法務局への申請書類、裁判所に提出する書類といっても数多くのものがありますし、ちょっとイメージがわかないかもしれませんので、もっと具体的に説明をします。

 

 

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登記業務

 

司法書士のメインの独占業務となるのが登記業務です。

 

不動産の権利などの登記と会社名や会社の代表者に関わる事柄の登記などがあります。前者が不動産登記で後者が商業登記と呼ばれるものです。

 

特に不動産登記は多くの人が司法書士の専門業務とうイメージを持つ典型的な業務になります。

 

会社に関わる法律的な手続きとという会社設立のイメージがあるでしょうが、会社設立に関わる全般が司法書士の独占業務ということではありません。

 

司法書士は会社の代表者、定款や代表者の変更などの登記手続きの代理などが独占業務ということになります。

 

 

裁判所に提出する書類と裁判業務

 

裁判所に提出する書類の作成業務は司法書士の独占業務ですが、司法書士の仕事は書類作成まででなく広く市民の権利関係を擁護する役割の裁判業務があります。

 

過払い金返還請求訴訟をかつては弁護士だけでなく、司法書士もかなり行っていましたが、最近は減少傾向にあります。

 

将来的には司法書士にも特別に認定されたものだけが行える簡裁訴訟代理権によって市民の権利を守ることができることかも司法書士の社会的な存在価値を左右するでしょう。

 

相続・成年後見業務

 

近年は相続に関して揉め事ができるだけ起こらないように、事前に遺言を作成するケースが目立つようになってきましたが、司法書士はその遺言を執行する遺言執行者としての役割を果たす場合も増えてきています。

 

また、高齢のため法的な判断能力などが衰えてくるものですが、判断能力が不十分なため不利益を被らないよう、財産管理等を行う成年後見人としての業務を行う司法書士も増えてきています。

 

なお、成年後見業務は司法書士の独占業務ではなく、弁護士はもちろん社会福祉士や行政書士などが行う場合もあります。

 

 

司法書士の将来性

 

独占業務だけでなく司法書士という資格の専門性や信頼性を生かした仕事がある中、今後将来の司法書士の将来性はどうなのでしょうか?

 

 

不動産登記の減少

 

司法書士の最も象徴的な仕事の不動産登記ですが近年は減少傾向にあります。

 

バブル崩壊やリーマンショックなど経済情勢によって大きな減少したこともあり、10年前と比べるとおよそ5割近く減少するという残念な結果です。

 

この減少傾向見ると、司法書士のメインの職務である不動産登記はあまり将来が期待できる分野とは言い難いです。

 

 

不動産登記だけでなく他も厳しい状況

 

裁判業務にしても弁護士でさえなかなか食えないという時代ですから、過払い金返還請求のような追い風がない時代では、なかなか安定的に司法書士で稼ぐのは昔と比べると難しいといえるでしょう。

 

また、その他の商業登記にしても起業を志すのがあまり伸びていませんし、手続きの簡素化によって手続きを専門家に頼まないケースや競争による料金の低下というのもあるでしょう。

 

 

AIの発展による影響は?

 

AI(人工知能)の発展によって、単純労働だけでなく司法書士のような専門的な知的労働にもその影響を及ぼすともいわれています。

 

現在人間が行っている業務をAIが完全にとって変わるという場合もあるのです。

 

司法書士の業務では、すでに電子化された申請書の作成や必要書類の収集に関しては今後はかなりAIが担うのではないかと思われます。

 

ただ書類作成の多くがAIが行うといっても、全ての司法書士業務が完全になくなるわけではありません。

 

引き続き残るものもありますし、成年後見業務のように、ますます独居老人が増える日本では将来性のある業務もあるでしょう。

 

確かにAIの発展は司法書士の業務に逆風をもたらす側面が多いですが、また現在の先輩司法書士の方々が新しい分野を開拓する可能性もあり、引き続き高いステイタスのある資格であることは続くでしょう。